依存性について

山口達也さん飲酒運転で逮捕。

「またか。」と世の中の反応を聞きつつ、私としては「やっぱりな。」と思うところがあります。

依存性は完治しませんが回復することは可能です。

しかし、8割の方が再燃を繰り返すとても難しい「病気」なのです。決して本人の気持ちが弱い、意志が弱いからとの問題ではなく、皆さんも「病気」として捉えなければなりません。お酒を絶って幸せに暮らせる方は全体のたった2割程度と当事者としても苦しく厳しい環境が待ち構えています。

本人が犯した罪は拭えませんが、ここからがまた振り出し再スタートに逆戻り。世間の目もあり壮絶な生活が始まると思いますが、根気強く彼を応援していきたいと思います。「私は依存性です。」と認めることができれば8割は回復したと言っても過言はないでしょう。

一つ質問です。

皆さんは

「また飲んだの?しっかりして。飲まないって言ったよね?」と言われたらどう思いますか?

 

以上、また次回依存性について書きたいと思います!

 

 

精神科治療による各ステージの特徴

精神科疾患を患っている方に医師や看護師、作業療法士等がチームになって治療を進めていくわけですが、治療や目的には段階があり、その段階を間違えてしまうといくら頑張って介入しても逆効果になってしまいますので注意しましょう。まずは各ステージの説明を簡単に記載します。

 

<前兆期>発症の前触れのサインが現れる
 発症の前触れのような変化がみられることがあります。眠れなくなったり、物音や光に敏感になったり、あせりの気持ちが強くなったりします。これらは誰もがよく経験することです。その為、本人も周りの人も気づかないケースが多くあります。

 

このステージで周囲の方々がいち早く当事者の異変に気付き、相談に乗ったり話を傾聴したり、もしくは速やかに地域の精神科外来へ繋げてあげることが大切です。この段階では医療機関に繋がることが少なく見過ごしてしまうケースがほとんどです。精神科医療の課題は「予防」に対する関わりがかなり難しいということ。ほとんどのケースは精神科疾患を発症後に医師や看護師、作業療法士が関わり始めます。それでは手遅れとなることも少なくありません。今後の精神科医療業界としては「予防」の観点から小児から高齢者まで幅広く関わることができる基盤作りが課題だと感じています。

 

 

<急性期>幻覚や妄想などの陽性症状が目立つ

 前兆期に続いて現れるのが急性期です。不安や緊張感、敏感さが極度に強まり、幻覚、妄想、興奮といった統合失調症特有の陽性症状が目立ちます。幻覚や妄想に襲われて頭の中が混乱し、周囲とのコミュニケーションがうまくとれなくなります。

 

急性期に入ると自傷、他害もしくは命を危険に晒す行為に発展する可能性があります。早急に精神科専門病院に相談しましょう。この段階では本人の体調や状態に寄りますが自傷他害の恐れが強い場合、いわゆる閉鎖的空間にて薬物療法を用いて当事者の命を守る事を最優先に医師や看護師が集中的に治療を開始します。体調や状況に寄りますが期間は約1〜2週間程度で急性症状が治る事が多いように感じます。急性症状が治る頃から作業療法士を交えてリハビリテーションを開始します。このステージの大枠のリハビリ目標は「休息、安心安全に過ごす」です。ここでしっかりと休息を取り心にゆとりが得られるよう関わります。一番大切な事はコミュニケーションです。当たり前だと感じるかもしれませんが、このステージのコミュニケーションが特に難しいです。一語一句丁寧に物事を考えて話しかけなければ再燃の恐れもある為、注意したいところです。

 

<休息期>感情の平板化や意欲の低下がみられる
嵐のような急性期が過ぎると、感情の起伏がとぼしくなり、無気力で何もしなくなるなどの陰性症状が中心の休息期に入ります。いつも寝ていたり、引きこもったりします。この時期は不安定な精神状態にあり、ちょっとした刺激が誘因となって、急性期に逆戻りしやすい時期でもあります。

 

急性期よりおちついてきた頃、薬物治療を継続しながら作業療法士によるリハビリへ転換していきます。ここでの大枠の目標は「生活リズムを整える。」「しっかりと食事が摂れる。」「集団の場に行くことができる。」です。焦らずゆっくりとリハビリを開始します。もちろん排泄、入浴、身辺処理能力の向上など生活に必要な事柄をメインにリハビリを行いながら評価します。

 


<回復期>徐々に症状が治まるが、認知機能障害が現れることも
症状が徐々に治まり、無気力な状態から脱していきます。ただし、この時期には認知機能障害が現れることがあり、その後の生活上の障害や社会性の低下へとつながっていく場合があります。

 

この段階に来ると社会復帰に向けて作業療法メインの介入を行います。生活リズムの安定や集団レクリエーションを通じて他者との交流スキル、施設外レクを通して社会資源の活用スキル、ストレス発散方法スキル、問題解決能力スキル、食事調理、家事全般等、また適度な運動で心身機能の健康を保ちます。当事者にとっては社会復帰に向けて一番楽しくかつ一番大変な時期になると思います。この頃からは当事者の言動に責任が伴い始め、自立心を養う為にレクリエーションで楽しみながらも自らの苦手な部分などを克服する為、または社会に出た際の厳しさを学ぶ時期となっています。退院して社会復帰した際に入院中のスキルトレーニング不足が露呈し、精神症状が再燃、再入院してしまうといったことが少なくありません。ですので、作業療法士は当事者が入院中に本人の生活環境や仕事環境等をしっかりと把握、予測し適切なスキルトレーニングを行う必要があります。作業療法士は一般的な知識を大切に当事者が社会でどういった事柄に困るだろうかと予後予測して関わることが大切です。病院ではしっかりと自立した生活を送れていとも実際に社会へ出るとそう簡単にいくものではありません。当事者の

為にも予後予測を見通せる知識を持ちましょう。

 

また精神科には確固たるエビデンスは少ないように感じます。それはなぜか?と言いますと、精神科患者様、治療スタッフは個々個人、様々な性格や特性を持ち合わせる「人」であると言うこと。疾患名は同じでも、その人の生活や生活等により症状や関わり方は様々であるということ。よってこの治療が正解など導くには相当難しいと思います。また周囲の環境などすべてが流動的であることも要因の一つです。多種多様な視点から精神疾患を治療する事が大切で、チームワークで情報共有しながら関わりを持ちましょう。

長々と書いて見ましたが精神科は奥が深く、すべてを文章で説明することが難しいです。質問があればなんなりと受け付けますので宜しくお願いします。

ありがとうございました!

初めまして!作業療法士です!

みなさま初めまして。TamanMaxと申します!沖縄県出身の作業療法士です。

職歴:精神科病院勤務12年を勤め、現在は訪問看護ステーションを中心に共同生活援助、児童発達支援・放課後等デイサービスなど8事業所を運営する会社の業務執行役員連結子会社代表社員を勤めております。

このブログでは私が今まで経験、実践してきた精神科作業療法での経験知識、または実践していたレクリエーションの数々をメモ帳がてらに更新し、高齢者施設の介護職員、レク担当の方、作業療法士、司会者などなど少しでも皆様のヒントになって頂けたらいいなと思いながらマイペースに更新して行きたいと思います。ここに乗る情報は必ずや現場で活かせる材料として重宝されると思いますのでどうぞご贔屓に宜しくお願いいたします!